LLFP  報道・表現の危機を考える弁護士の会

7月27日集会 「メディアの危機・憲法の危機」を開催
メディア関係者、市民、弁護士など100人余が参加


  内容は、第1部でNHK番組改変問題のもつメディアの問題性と公共放送としてのNHKに対する期待。 第 2部では、憲法改正国民投票法案の問題点について、各パネラーによるディスカッションを行った。

  [パネラー・敬称略]
   吉岡 忍さん(作家)
   野中 章弘さん(アジアプレス代表)
   藤森 研さん(朝日新聞記者)
   内田 雅敏さん(弁護士)
  [コーディネーター]
   梓澤 和幸さん(弁護士)

  野中 章弘氏 (アジアプレス・インターナショナル代表) からは、NHKの内部でもその体質を問題視している者もいるが、 改革の声を中から挙げることがむずかしい現状にある。「報道機関の中に表現の自由がない」 と指摘。 NHK問題についていえば、政治との距離を置く意味でNHKの財政面を国会承認からはずす必要性、 放送法改正も含めて改革が必要であるとの意見を示した。問題をフェイドアウ トしてうやむやにすべきではなく、 恥ずかしくても検証すべきとの厳しい指摘も。

  また、憲法問題については、平時にこそメディアは声を挙げていかなければならない。 状況がメディ アに抑圧的になって、悪化すればなおさら発言は苦しくなる。 アジア各国でのメディアに携わる同胞は命をかけて報道をしている。 日本はそんな苦しい状況ではないのに発言できないのは憂うべきだ。たとえば、竹島問題、 北方四島の問題について報道機関は政府の顔色をみてその報道を決めている。 だから、 国民があまり情報を得ることができないこと等々の生々しい状況を紹介された。

  藤森研氏 (朝日新聞記者) は、すべて個人としての発言と前置きしながら、 「当時、番組が改変され たのは右翼の働きかけかとも言われていたが、4年経って政治家との関係がわかった。」 と客観的な事実についての発言にとどめつつも、淡々と問題点を指摘。 また、自社による厳しい検証の必要性につい ても個人意見として言及。

  なお、参加者は、本テーマの集会に当事社の記者でありながら参加された、 同氏のジャーナリストと しての誠実さと真摯さを感じたという声は多かった。

  吉岡忍氏 (作家) は、グローバルな視点を示唆。戦後60年経ち、ソ連の崩壊による米国の一国大国主義、 EUの結成による欧州の再編、中国の台頭などの中で日本が漠然とした不安を持ち、 自国の地位を建て直したいという本能をもっていること。その思いがナショナリズムに国家を傾斜させていくこと。 また、このナショナリズムの動きはフランスにおいても起こってきており、世界的な流れになっているようにもみえること、 などを興味深く語られた。

  内田雅敏氏 (弁護士) は、国家がその気になれば、法を駆使して国民を取り締まる恐怖について、具体例を挙げて警戒を促した。 アパート等の共有パートにビラ配りに立ち入ることが 「住居侵入」、 大家と店子の間に何らの問題がなくても契約者自身が居住していなければ 「詐欺」 などとして、 警察は逮捕や家宅の捜索などを行う恐ろしさを熱っぽく語った。 そして、そのようなことができれば、裁判で無罪になっても、目的者を十分抑圧できるし、必要な情報も獲得できるわけである。

  なお、本集会では、NHK問題の後、NHKが朝日新聞社の報道について、自社の正当性弁明とおもわれる内容を、 午後7時のニュースで通常のニュースとの均衡を失する状況で報道したことに対しての、 日本弁護士会への人権救済の申し立てを行ったことを報告した。

  また、国民投票法案の危険性について、平易に解説した冊子 「憲法は決めるのは誰? 戒厳令下の国民投票」 の完成を紹介した。

  わずかな時間を質疑応答の時間に当てたが、発言希望者すべてに発言をしてもらえず残念だった。

  8月2日には自民党の憲法改正法案も発表された。

  学習会や講演会を聞かずにひとりでその中味を判断することがどれほどむずかしいか、みなさんも是非考えていただきたい。